青い空にキラキラと輝く海。時折、目の前をウミネコが楽しそうに飛び交う姿に、旅人の頬も緩みます。そんなのんびりとした雰囲気の港町・女川に、「日本一のティーメーカー」を目指す紅茶専門があります。それが、「TEAVER TEAFACTORY(ティーベル ティーファクトリー)」です。
「TEAVER TEAFACTORY」の歴史は、2017年、オーナーである内海康生(うちうみやすなり)さんが仙台市で起業、翌年日本茶フレーバーティー専門店「OCHACCO(おちゃっこ)」を女川町にオープンさせたことで始まります。
フレーバーティーの本場であるフランスの紅茶専門店「マリアージュフレール」で経験を重ねた内海さんは、気仙沼の出身。東日本大震災当時は東京を拠点にしていましたが、震災をきっかけに地元・宮城とのつながりを持つようになり、宮城で創業することにしたのだそうです。「姉がボランティア団体を立ち上げていたこともあり、震災後地元と関わる機会が多くありました。私も地元のために何かしたいと思っていたのと、紅茶のメーカーを立ち上げたいというのがあったので、宮城に戻ってきたんです」と話します。
創業当時は、日本茶のフレーバーティーを手掛けていましたが、震災から10年を迎えた2021年、かねてからの希望だった日本茶・紅茶にとらわれない新しいティーメーカへと業態を変え、店名も「TEAVER TEAFACTORY」と変更しました。
「日本茶専門店でやっていて、地域の産品と合わせることが多かったのですが、震災から10年を迎えて、地域のものだけじゃないブランドづくりが必要だと考えたんです」。
日本茶は岩手県の製茶場で丁寧に作られたものを、紅茶はスリランカやインドを中心に世界中のお茶から厳選。それを、女川の工房でブレンドし、フレーバーをつけていきます。
内海さんの作るフレーバーティーは、その味と香り、そして茶葉のビジュアルの美しさが高い評価を受け、OEM(*)の注文も増えています。「味と香りは最低限。そのうえで、ご依頼いただく企業さんやお店のブランドイメージを考慮して、花を入れるなどして、提案型のOEMを行っています」と、内海さん。
*OEM= Original Equipment Manufacturingの略で、他社の名義やブランドの製品を製造すること
女川の店舗では、カフェも併設。内海さんがブレンドしたお茶だけでなく、食事も楽しめます。クロックムッシュや、最近話題の“ヌン活”(*)ができるアフタヌーンティーも人気です。女川に立ち寄った際は、ぜひ試してみてください。
*ヌン活=アフタヌーンティーを楽しむ活動のこと。2021年秋ごろから女性を中心に話題に
今回、「TEAVER TEAFACTORY」が東北食卓百貨店に出品する商品は、「バースデーティー」「ブルーブーケ」「ルージュブーケ」の3種類。
それぞれのお茶の誕生の物語を内海さんに聞くと「『バースデーティー』は、その名の通り、誕生のお茶です。紅茶と緑茶の一番茶のブレンドで、お店のオープンに合わせたのと、その1か月前に私の息子が誕生したので、その名をつけました。『ブルーブーケ』と、『ルージュブーケ』は『ティーブーケ』というお茶と合わせて3部作のような形でリリースしたもの。この仕事をしているとお花屋さんと関わることも多いのですが、私自身、花を買ったことがないんです。花を買ってプレゼントするのってなんだかキザでハードルが高い感じがして(笑)。行動に移すのは難しいので、『お茶に乗せて花束をプレゼントしましょう』というというコンセプトで出したんです」と教えてくれました。
さらに、それぞれのおいしい飲み方を聞くと「『バースデーティー』は緑茶と紅茶の一番茶なので、何かと合わせると負けてしまうんです。なので、そのままストレートで飲んでいただくのがおすすめです。すっきりした飲み口なので、お食事中に飲んでいただくのもいいと思います」と。
そして「ブルーブーケ」「ルージュブーケ」については「『ブルーブーケ』は色が青くきれいに出るので、水出しにしてガラスのカップで飲んでいただくと目でも楽しめると思います。水出しは紅茶の甘みとうま味を引き出してくれるので、渋みや苦みが苦手だという方におすすめの飲み方です。ミルクと合わせると、きれいなパステルブルーになりますよ。『ルージュブーケ』はノンカフェインなので、夜寝る前でも召し上がっていただけます。淹れ方はお好みでいいと思います」と教えてくれました。
内海さんは「紅茶って難しいと思っている方もいると思うんです。でも、茶葉の量と蒸らす時間さえ守れば、飲み方は自由。たとえば、季節のお茶として出している『サクラ』は、塩を入れてもいい。桜の花の塩漬けみたいな風味になります。毎日のルーティンに取り入れていただいたり、大切な人と一緒に飲んだり、紅茶を日常に取り入れていただけたらと思います」と話してくれました。
大切なあの人や、自分自身に花を贈るような気持ちで、TEAVER TEAFACTORYのフレーバーティーを贈ってみませんか?