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サメの町で、サメを極める― サメを愛する男の飽くなき挑戦|石渡商店


 

サメの全国の水揚げ量の9割を占めるサメの町・気仙沼。江戸末期にはフカヒレの製造を始めていたと伝えられ、明治時代には肉をすり身に加工するなど、古くからサメを活用する文化が受け継がれてきました。そんな気仙沼で、1957年からフカヒレを扱っているのが、石渡商店です。

ふかひれ

捨てられているフカヒレがある?それを聞いた祖父は、一路気仙沼へ

食品会社の研究員だった初代が、「気仙沼に捨てられているフカヒレがある」と聞き及んで現地調査に来たのが石渡商店のはじまり。フカヒレは、その当時も中華の高級食材でしたが、小さな部位は捨てられるのが慣例でした。「腹ビレ、第二背ビレ、尻ビレなどは、当時は価値がないものとされていました。それに価値をつけていったのが私の祖父です。はじめは香港への輸出をメインにして、そのうちに工場を建てて加工するようになったんです」と話すのは、3代目として石渡商店を率いる石渡久師さんです。

石渡商店のスゴイところは、初代が開発した加工法。生のヒレから皮や骨、肉などを取り除いて乾燥させたものを「スムキ」といい、今では世界共通のフカヒレ用語になっているのですが、これを開発したのが初代なのです。

石渡商店石渡久師さん

「フカヒレは塩漬けにして天日で干すのが一般的なのですが、祖父は職人ではない。科学的に同じ条件を工場の中でやるために、新鮮なうちに骨と皮を取って、それを乾燥させて加工していったんです。今では、『夜寒さで凍って、昼間に溶けて、乾いた風が当たって乾燥する』という昔ながらの乾燥法をプログラミングで再現し、低温加工しているんですよ」と、石渡さん。

イチオシは、しずる感たっぷりのフカヒレステーキ!

現在、業務用も含めて50種類ほどの商品を販売していますが、「うちは、水揚げされたものから、自分たちで商品開発を行います。まず台所でスタートするので、だいぶ個人の好みに寄った商品開発になっているかもしれませんね」と、笑います。

数あるフカヒレ商品の中でも、石渡さんのイチオシは「フカヒレのステーキ」だそうで、「2年前に発売した商品なのですが、開発のきっかけが『フカヒレの姿煮と牛肉のステーキを出されたらどっちを食べるか』という問いだったんですよ。多分、値段が同じだったら、きっとほとんどの人がステーキに行くだろうな、と。だから、同じくらい“しずる感”のあるものをつくらないとフカヒレを食べてもらえないと考えたんです。そもそも、フカヒレには味がないと思われているから、フカヒレの味が味わえるもの、そしてギフトとして楽しんでもらえるものを作りたくて」と、石渡さん。

ステーキの入ったボックスは、左右に開くタイプ。その理由も「開くのってワクワクするじゃないですか」と石渡さんは無邪気な笑みを浮かべます。「あくまでもフカヒレ自体の味を楽しんでもらうために、コンソメしか入れていません。フカヒレをフライパンで焼いたらお皿に移して、コラーゲンが染み出したスープを煮詰めます。白っぽく乳化したら、それを最後にかけて食べる。濃厚なフカヒレの味を楽しんでもらえます」と、石渡さん。15,400円と高級路線であるため「失敗したら相当な心の折れようだと思うんです(笑)。だから、パンフレットでは110までの細かい手順で説明して、YouTubeもアップロードしています。私個人としては、姿煮よりもステーキの方がおいしいと感じています」と。

ふかひれステーキ

普段からサメの歯を持ち歩くほどにサメを愛してやまない石渡さん。「うちのテーマは、『サメを極める』です。サプリとして、コラーゲンとコンドロイチンも開発しました。来年からは、サメを使ったペットフードもつくります」と。202112月現在建設中のペットフード用工場にはドッグランも併設予定。気仙沼の新しいランドマークにもなりそうです。

さめ

サメに無駄な部位はないんだそう。どの部位も様々な使い方で活かせるそうですよ。

すべてを変えた東日本大震災 今、気仙沼のためにできることを―

10年前の東日本大震災では、気仙沼も壊滅的なダメージを受け、石渡商店の工場も社屋も流出。一時は廃業も頭をよぎったといいますが、現在の場所に工場と本社の再建を果たします。「工場再建のときにクラウドファンディングをしたら、多くの方に協力していただいて。その理由が『気仙沼のために』ということだったので、私も気仙沼のものを新しく商品化しようと思ったんです」。

そこで石渡さんが目を付けたのが、唐桑半島の牡蠣。「牡蠣って、1112月がシーズンと思われているんですけど、この時期の牡蠣は水っぽいんです。さっぱりして食べやすいけれど、本当は4月ころの牡蠣は産卵を控えて実がパンパンに張っておいしいと漁師さんがいうんですね。でもその時期の牡蠣はピークが下がって値段は安いということで、『これだ!』と思いました」。

唐桑の牡蠣

こうして石渡さんは、唐桑産の牡蠣を使用した「気仙沼完熟牡蠣のオイスターソース」を開発。牡蠣のうま味を凝縮した濃厚なこのオイスターソースは、今では高級スーパーでも取り扱われ、全国的な人気を博すまでになりました。

オイスターソース

とことんサメを極める石渡商店のフカヒレ商品と、復興への想いが詰まったオイスターソース。どちらも、東北食卓百貨店で購入できますよ。


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