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最高級ブランド「ミガキイチゴ」で 生まれ故郷に革命をもたらした青年|GRA


宮城県山元町。いちごの一大生産地として知られるこの町に、震災後に立ち上がった農業法人があります。それが、農業生産法人GRA。「11,000円」で大きな話題となったあの「ミガキイチゴ」をつくりだし、山元町の復興に大きく寄与したことでも知られています。

生まれ故郷をどうにかしないと―その思いだけで、動き始めた

代表取締役の岩佐大輝さんは、山元町の出身。子どものころからプログラミングに慣れ親しみ、高校卒業後は、大学に通いながらホームページの制作やシステム開発の仕事を請け負っていました。24歳のときには、個人事業を法人化し、IT企業の社長として多忙な日々を送ることに。そんな岩佐さんを大きく変えたのが、あの東日本大震災でした。

発災当時、東京の自宅で仕事をしていた岩佐さんは、山元町の実家に電話をしますが、つながりません。いてもたってもいられず、翌日救援物資を車に積み込み、山元町に向かいました。そして、その目に飛び込んできたのは、あまりに無残な故郷の姿でした。

「生まれ故郷をどうにかしないといけない」。岩佐さんは、大学院時代の仲間とチームをつくり、翌週から被災地でがれき撤去のボランティアをスタート。ボランティアを進める中で、「ビジネスとして新しいいちご農業を確立し、継続できるスキームを構築すれば、雇用を生み出すこともできる。若い人も集まってくれるのではないか」。そんな思いが頭をよぎりました。

ミガキイチゴ

研究の成果はほかの農家とも共有地域ぐるみで発展を目指す

20117月。岩佐さんは、農業法人GRAを設立。いちご栽培35年のベテランを口説き落とし、指導を仰ぎながらいちご栽培を開始しました。温度や湿度の管理など、これまでベテラン農家が経験や勘で行ってきたものをITの力で数値化し、現在に至るまでオープンラボのような形で研究を続けています。岩佐さんは「もともとここは、燦燦園の深沼さんや山元いちご農園の岩佐さんに教えてもらいながら始めたところです。創業から7年間は、地域のラボの役割を請け負っており、研究成果はオープンにしていていました。私たちが実証したものは山元町や亘理町の農家さんに使っていただけるようにしているんです」と。

そして2012年、山元町といういちご栽培に最適な場所とIT、そしてベテラン農家さんの知見と技術のすべてが掛け合わさった最高級ブランド「ミガキイチゴ」が誕生しました。品種に関わらず、色、形、大きさ、そのすべてで一定の基準をクリアしたものを「ミガキイチゴ」とし、プラチナ、ゴールド、シルバー、レギュラーを展開。話題になった11,000円のプラチナは、500粒にひとつというエリート中のエリートいちごなのです。

ミガキイチゴ選別

現在、GRAでは、とちおとめ、よつぼし、そして自社オリジナルのはなみがきの3種を栽培しており、毎日すべての品種、すべての農場からサンプリングをしています。「いちごは非破壊検査ができないので、破壊して糖度、酸度を計測し、品質管理をしています。その上で、人の手で選果を行うんです」と、岩佐さん。

海外での栽培面積のほうが将来的には大きくなる

町全体をあげてのいちごのPRも功を奏し、山元町の町民所得は、震災前の1.4倍にひきあがりました。「町全体がいちご一本足打法のような形で取り組めたおかげで、農業所得が上がり、ひいては町民の平均所得が上がったのだと思います。山元町は、宮城県内の高齢化率はワースト2位で、40%が高齢者。それでも、所得は県内でも真ん中あたりにいる。これって、地方におけるひとつの成功モデルになるのではないかと考えています」。

故郷をどうにかしないと――。その一心で農業法人を立ち上げ、駆け抜けた10年。「あまりうまくいっていない地域が震災でさらに大変なことになって、マイナスをゼロに、それをプラスに持っていくモメンタムをつくるのがこれまでの10年でした。これからの10年は、それを昇華させて、地域として産業として一人前になっていく活動をしていきたいと思います」。

ミガキイチゴ/GRA岩佐社長

すでに岩佐さんは、インド、マレーシア、ヨルダン、カナダでのいちご栽培の実証試験にも取り組んでいます。「マーケットがありそうで、『ミガキイチゴ』の品質を担保できる日本のいちごが栽培できそうな場所を選んでいます。今はコロナで、外国に行って新しいオペレーションを立ち上げるのは難しいけれど、これが終わったら一気に海外に出ていこうと思っています。いずれは海外のほうが、圧倒的に栽培面積が広いというようになっていくと思います」。

さらにGRAでは、六次化にも力を入れています。

ミガキイチゴジャム

「その時々のリソースで、商品化してきたもので、純粋にいちごのおいしさを楽しんでほしいと思ってつくりました。多くのいちご商品は、いちごを使っていなかったりするものですが、うちではいちごのプロダクトのポテンシャルを限界まで引き出した商品しか作っていません」。

今回の東北食卓百貨店では「ミガキイチゴ」のほか、ジャムやバター、ムスー(スパークリングワイン)も登場します。ぜひみなさんの舌で、そのおいしさを体感してください。

ミガキイチゴ


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